皆様、お疲れ様です。
こんな人に読んでほしい
・海水水槽初心者で、リン酸塩についてもっと知りたい!
・サンゴ飼育を本気でやりたい!
・リン酸塩を減らしたい!
リン酸塩は硝酸塩やKHほどは重要ではないけど、知っておいた方がいい項目です。
特に、これからミドリイシなどの難しいサンゴに挑戦したいと思っている方は、是非とも確認していただきたいと思います。
その他について詳しく見たい方はこちらを確認ください!




リン酸塩(PO4)について
リン酸塩は魚に与える餌などに含まれています。
餌を与えると水槽内にリン酸塩が蓄積されていきます。
生物濾過の過程で発生するものではなく、意図的に餌を与えることで発生するのです。
このリン酸塩が水槽内に蓄積されるとどうなるかというと、
まず、コケが発生します。
リン酸塩はコケなどの藻類の栄養になるのです。
コケが繁殖する要因としては硝酸塩やケイ酸塩などもありますが、このリン酸が蓄積することによってもコケの大発生を招いてしまいます。
そして、サンゴなどの生き物にも悪い影響を与えてしまいます。
海水魚への影響はそこまでありませんので心配はいらないのですが、RedSeaが推奨しているのは1ppm未満とのことです。
LPSやSPSなどのハードコーラルに対しては、特に気をつけなければいけません。
具体的な数値で言うと、LPSであれば0.1ppm、SPSであれば0.01〜0.02ppmで維持するのが望ましいとのことです。こちらもRedSeaのユーザーマニュアルに記載の数値です。
こちらも諸説ありますが、一つの例として紹介しました。
自分が何を飼育している、これから飼育しようと思っているかによってリン酸塩の目標値は変わってきます。
そして、自分の水槽の現在のリン酸塩はどのくらいの数値なのかというのを把握する必要があります。
リン酸塩の理想値
海水魚 1ppm未満
ソフトコーラル、LPS 0.1ppm
SPS 0.01〜0.02ppm
リン酸の測定方法
リン酸塩の測定方法についてです。
硝酸塩やKHなどの測定にも使用している、RedSeaシリーズのリン酸塩測定キットが有名です。
こちらについても、細かな値を測定するプロ仕様のものとそうでないものとがあります。
そして、アルジーキットという名で硝酸塩とリン酸塩の測定キットがセットになっているものもあります。
こちらは0.1ppmの単位で計測が可能です。
海水魚のみの方で簡易的に測定したい方はこちらでいいと思います。
こちらはさすがプロというだけあって、0.02ppmの単位で測定が可能です。先ほど言ったように、ハードコーラルを飼育するための基準数値である0.02ppm前後を測定するのであれば、プロを購入する方がいいと感じます。
こちらは硝酸塩とリン酸塩のセット商品です。
どちらもプロ仕様のものであり、硝酸塩も測定する予定であればこちらの購入をおすすめします。私もこちらを購入しましたが、ちょっと高いのが難点です・・・
他の成分を測定する際にも説明しておりますが、水槽内の海水の塩分濃度を先に測定してからの方がいいです。
測定前は一度塩分濃度を測定して、毎回同じ塩分濃度に調整してから測定するクセをつけましょう。
測定方法もリン酸塩を測定するのであれば、正確に塩分濃度を測定できるリフレクトメーターがおすすめです。
それでは実際にリン酸塩測定キットプロを用いて測定の方法を見ていきたいと思います。
キットの中身は、説明カード、リン酸塩試験薬AB、試験薬B様のスポイト、試験用ビン2つ、色を確認するやつ、飼育水の海水用シリンジとなっています。

色を確認する円盤は、ひっくり返せば硝酸塩のものになり、どちらもこれを使用する形になります。
使用する飼育水は17mlと少し多めです。なので付属のシリンジだと何回も入れないといけません。
100円ショップなどで20mlのシリンジを購入すれば時短になります。
これは硝酸塩の時と同じですね。
写真の大きなビンには水槽の海水が入っています。
説明書と説明カードのとおりにやればできるのですが、解説しながらいきます。
ちなみ、他に比べて工程自体は少ないですが、待ち時間が一番長いです。
なのでこれを一番最初にやってしまって時間が来る前に他をやってしまうのがいいでしょう。


写真のようにセッティングします。
外側のビンは色の確認に使用します。
下の円盤を回してその色に変えていき、近いものを読み取るという方法です。
なので、外側は飼育水のみで透明なままにしておきます。
これから試験薬を入れるビンは最後に円盤の中央におきます。
中央の底は白色になっているため、試験薬によって色づいた色と外側の色を比べるのです。

試験薬Aを飼育水に5滴入れます。
そして、10秒間混ぜます。
そこまで強く振る必要はないので、蓋は閉めなくても大丈夫です。

付属の小さいスポイトで試験薬Bを吸い取り、飼育水に4滴入れます。
この試験薬Bは青い液体であり、染み込むとなかなか取れません。
なので、白色のシャツの方は注意が必要です。
また、テーブルが木などの染み込みやすいものであれば、これも注意が必要です。
気をつけても予想外に飛び散るというのが結構ありますので、気をつけましょう。
入れた直後はうっすら黄色になります。

そして、15分待ちましょう。
これが長いのです。
15分経過すると黄色から緑色になっていきます。
リン酸塩の値が0だと、透明になります。
こちらのビンを円盤の中央にセットします。

そして、円盤のプレートを回すと外側の色が変化していきます。
試験薬を入れた中央のビンと比較して、同じ色または近い色を探します。
ここでぴったりの色があれば、それが硝酸塩濃度となります。
薄暗いとわかりづらいため、白色のデスクライトなどがあれば見やすくなります。
この写真でいえば、0ppmになります。

0.01の表示をしてみると、左ほど色は出ていないのがわかります。
なのでこの水槽にリン酸塩濃度は0ppmということがわかりました。
以上がリン酸塩の測定方法です。
やり方については、各メーカーによって異なりますので、説明書をしっかりと確認しながら行いましょう。
リン酸塩が多い場合は、水換えと吸着剤を使用する
測定した結果、リン酸塩が理想数値よりも多い場合は、減らす必要があります。
主なリン酸塩の減らし方を紹介します。
水換えを行う
まず一番シンプルな方法です。
定期的な水換えにより、蓄積されたリン酸塩を減少させることができます。
海水水槽に必要な主要元素や微量元素の補給と合わせてリン酸塩を減らします。
水槽の管理を水換えのみで行なっている方もいるくらい効果があります。
ただ、水槽内に魚が多い場合やサンゴのための餌を与えているとどうしてもリン酸塩の蓄積が多くなってしまいます。
その場合、水換えのみで理想値をキープするのは難しい場合もあります。
毎日水換えするわけにもいきませんよね。
そういう場合は、吸着剤も追加してましょう。
吸着剤を使用してリン酸塩を除去する
硝酸塩と違って、リン酸塩を除去するための吸着剤というのが多くの種類売られています。
おすすめはケイ酸塩も同時に除去できるタイプのものです。
ケイ酸塩とは、水道水に含まれてるもので、コケの原因となるものです。
このケイ酸塩も一緒に除去できるのであれば嬉しいですよね。
そこまで値段は高くないので、試してみる価値はあります。
こちらはカミハタさんから出ている吸着剤です。以前まではリン酸塩用、ケイ酸塩用の別々の商品でしたが、最近一緒に吸着する商品が出ました。
こちらはデルフィスさんから出ている商品で、自分も使用したことがあるのはこちらです。
添加剤を使用してリン酸塩を除去する
硝酸塩の項目で、除去するための添加剤を紹介しました。
それがこちらのNO3-PO4Xです。
これは元々住んでいるバクテリアのパワーアップを行い、硝酸塩を窒素に変える働きを促すというものです。
この添加剤は実はリン酸塩にも効果があるのです。
硝酸塩がバクテリアの力で窒素ガスとして大気中に放出されると同時に、リン酸塩はバクテリアに取り込まれプロテインスキマーによって最終的に除去されるという仕組みです。
硝酸塩の数値をコントロールするために、こちらの商品を使用しているのであればリン酸塩についても除去されるはずですので、問題ありません。
まとめ
他の主要元素や硝酸塩ほど重要視されないのがリン酸塩ですが、難しいサンゴに挑戦するのであれば必ず管理しない項目です。
水換えのみでしか除去できなかった時代に比べると、今は添加剤や吸着剤の技術が進んでいますので簡単にリン酸塩濃度を下げることが可能です。
もちろんリン酸塩だけを管理していてはサンゴは飼育できません。
併せて硝酸塩、カルシウムなどの主要元素もしっかりと値をキープしてサンゴ飼育を行ってほしいと感じます。
とても難しいですが、やりがいはあります。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。