皆様、お疲れ様です。
harutoです。
こんな人に見てもらいたい
・これからサンゴ飼育を本格的にやっていきたい
・マグネシウムについて詳しく知りたい!
・マグネシウムの維持について知りたい!
サンゴ飼育をする上で必要と言われる元素、Mg(マグネシウム)について詳しく解説していきます。
今後サンゴを飼育する上では必要な知識ですので、しっかりと理解してほしいと思います。
Mg(マグネシウム)とは
カルシウムに関しては、人間の成長のためにも必要であり馴染みはありますが、マグネシウムは何に使われているかイマイチよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
Mg(マグネシウム)はKH、カルシウムと同様にサンゴの骨格を形成するために重要な元素です。
KHは炭酸イオン、重炭酸イオンの総量を表すみたいな複雑な考え方をするので、ちょっとよくわからんって感じです。
それに比べて、マグネシウムは水槽の中にどれくらい入っているかという考え方でいいです。
なので、KHよりは理解しやすいと思います。
KH、Ca(カルシウム)についてはこちらの記事でも詳しく書いてます。


Mg(マグネシウム)はサンゴの骨格形成のために重要な元素
サンゴの硬い部分、骨格はアラゴナイトと呼ばれる物質で形成されています。
アラゴナイトはさらに炭酸カルシウムやストロンチウムなどの物質から作られています。
ここにマグネシウムが入ることにより、より強固なアラゴナイトを形成することができます。
マグネシウムだけがあってもダメですが、マグネシウムがないと、強固な骨格は作れないのです。
みなさんに馴染みのあるコンクリートですが、主成分はセメント、そして水、砂、砂利などから出来てます。
これがちょうどいい分量だととても強固なコンクリートになり、大きな橋やビルなどになります。
マグネシウムはコンクリートの例で言うと、砂のような役割でしょうか。
主成分ではないですが、つなぎのためにはとても重要な材料というわけです。
サンゴが骨格の形成を行うと、水槽内のマグネシウムは少しずつですが減少していきます。
なので、定期的に水換えや添加剤により、KHやカルシウムと同様にマグネシウムも補給していかないといけないのです。
水槽の大きさや飼育している生体にもよるとは思いますが、KHやカルシウムほどマグネシウムは減少しません。
海水水槽のMg(マグネシウム)を測定する
それでは、自分の海水水槽の中に十分なマグネシウムがあるのかどうかを確認しましょう。
ここで十分な値でないとサンゴを飼育できませんので、まずはどれくらい入っているのかを確認しましょう。
ちなみに十分な値というのは、1300〜1400ppmくらいです。
これについてはのちほど説明します。
測定するためには、マグネシウム測定キットです。
これは各メーカーから出されているので、何を使用してもいいと思います。
有名なところで、RedSeaのものが挙げられます。
私も使用しているのがこちらの測定キットですが、こちらを使用してマグネシウムの値を確認するのですが、その前にやることがあるのです。
それは塩分濃度を確認するということです。
これはKH、カルシウムの時と同じですが再度確認していきます。
塩分濃度の測定を行う
まず海水水槽内の海水の塩分濃度について確認しましょう。
これはプラスチックの比重測定器で測定している比重と同じ意味ですが、
マグネシウムなどの成分を細かく測定するのであれば、プラスチックの比重計を卒業し、リフレクトメーターを使用して正確に塩分濃度を測定しましょう。
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プラスチックの簡易的なものは誤差が生じやすいため、毎回正確に測定することが重要です。
なぜマグネシウムを測定する前に塩分濃度を測定するのかというと、マグネシウムを測定するたびに毎回塩分濃度がずれていると、マグネシウムの値も毎回ずれてしまいます。
なので、測定する際の塩分濃度は一定に保つ必要があるのです。
リフレクトメーターを使用し、自分の目標とする塩分濃度かどうか確認します。
自動で足し水を行っていない場合は、水の蒸発により塩分濃度が上昇していることが多いと思いますので、足し水を行い調整します。
塩分濃度を例えば34(比重でいうと1.024)を目標値とするのであれば、この34を維持することを心がけます。
海水が目標の塩分濃度になってからマグネシウムを測定します。
測定キットを使用する
いよいよ測定していきます。
今回は自分がいつも使用しているRedSeaのマグネシウム測定キットの使用方法を例に紹介していきます。
この商品は、マグネシウムのみ測定できるものとKH、カルシウムも一緒に測定できるセット商品とが売られています。
最終的には全ての測定を行うため、それぞれを買っていくよりもセットのものを購入する方が最終的にはお得ですよ。
使い方によって、KHやカルシウムの測定キットだけ無くなったということがありますので、そういう場合は、単体の詰め替えを購入すればOKです。
RedSeaのテストキットには通常のものとプロと書かれたものの2種類があります。
通常のものよりプロの方が測定の精度が高いです。より細かい数字で確認できます。
サンゴのために本気でマグネシウムを測定するのであれば間違いなくプロにした方がいいと思います。
マグネシウムの測定キットの中身は、説明カード、マグネシウム試験薬ABC、試験薬用シリンジ、試験薬を滴下させるやつ、試験用ビン、飼育水の海水用シリンジとなっています。

写真の大きなビンには水槽の海水が入っています。
説明書と説明カードのとおりにやればできるのですが、解説しながらいきます。
ちなみにKH、カルシウムと比べて工程が多いので、少し面倒です。
まず、試験用ビンをこれから試験する海水で洗います。
これは、汚れ等により試験結果が変わってしまうのを防ぐためです。
洗った小さなビンに、飼育水2mlを海水用シリンジで入れます。
水槽から直接抜き取っても問題ありませんよ。


次に試験薬Aを1滴、飼育水に入れます。
入れたら、15秒混ぜてください。
1滴入れて15秒混ぜるを1セットとして、あと4セット行います。
ですので、合計5滴入れることになります。
混ぜている間に今何滴目なのかわからなくなることがありますので、指を折って数えましょう。
この工程がカルシウムとは大きく異なる違いです。

試験薬Bを1滴、飼育水に入れます。
入れたら60秒混ぜます。
そうすると、下のような赤色になります。


次に試験薬用シリンジで、試験薬Cを1ml抜き取ります。
ここでわかりづらいのですが、黒いゴムの下部分を1mlにしても液体が少し下で止まってしまいます。空気が入っている状態になるのです。
ただ、これで正解です。
これは下の赤い部分にも液体が入っているため、正確に1mlを図るための調整分らしいのです。
なので空の状態のシリンジを一番下まで下げてから、液体を1mlのとこに黒いゴムの下部分が来るまで持ち上げればOKです。
次に、試験薬シリンジを滴下させるやつに差し込み、それを飼育水の入ったビンの上に装着させます。
こんな感じです。

ビンを振りながら、少しずつ試験薬を入れていきます。
色が鮮やかな赤から濃い赤になるまではペースは早くても大丈夫です。
色が紫色に変化してきたら、ゆっくり1滴ずつ落として色の変化を見ていきましょう。

下の写真のように徐々に赤が抜けて青に近づいていきます。
③でもいいかなと思いますが、少し赤みがあります。
もう1滴加えて完全に赤みが抜けた青の④になったら終了です。
個人的にはKH、Caの判別より難しいなと感じます。

白のライトでしっかりと照らすことで判別しやすくなるかと思います。

メモリを見ると、0.3mlのところになりますね。
ですが、確認するのはメモリの値ではなく、どれだけ試験薬を入れたかなので、上の1mlのところから数えていきます。
ここまで来るのに、0.7ml液を入れたことになります。
次に説明カードの裏にある表を見ます。

0.7mlに対応するのは1400となります。
単位はppmを使用します。
これは濃度を表す単位であり、マグネシウムが水槽にどれくらい入っているかという考え方で大丈夫です。
この水槽には1400ppmのマグネシウムがあるということがわかりました。
シリンジ内に残っている試験薬はそのまま試験薬ボトルに戻してもいいの?
→取説上は、ボトルに戻していいと記載されています。KHは捨ててくださいと書いています。違いがわからず、問い合わせました。これについてメーカーからはKH、マグネシウムともに廃棄した方がいいと回答をもらいました。なぜなら、シリンジに入っている別の成分が悪影響を及ぼし、正確な試験ができなくなる恐れがあるためとのことでした。
最初は少し難しいかもしれませんが、何回かやればすぐに慣れるはずです。
参考になればと思います。
マグネシウム(Mg)の値はKHほど神経質にならなくてもよい
じゃあマグネシウムの値がどれくらいならいいのだろうか。
ちなみに天然の海水は1300ppm前後とのことです。
人によって理想的な数値は異なりますが、だいたい1300〜1400くらいが一般的です。
ちなみにRedSeaのホームページでは自分の水槽に応じた目標数値というのが見ることができます。

例えば、自分の45㎝キューブ水槽(水量100リットル)で水槽タイプはソフトコーラル、LPS、SPSが入ったミックスドリーフ水槽、成長と色彩はどちらも欲しいという内容であれば、上記の数値が理想値として出ます。
マグネシウムは1350にしましょうと出ます。
これを参考にしている方も多いのではないでしょうか。
自分もこれに近い数値、1300〜1400くらいあればいいかなというレベルで管理しています。
KHよりかはマグネシウムの変動にはシビアにならなくてもいいですが、安定するに越したことはありません。
サンゴは環境の変化をものすごく嫌います。
測定の結果、マグネシウムが目標の値よりも低かったとしても焦って添加剤を入れて急激に値を上昇させることは避けましょう。
RedSeaのMg添加剤の例で言えば、1日に10ppmを最大増加量としています。
この数字が一つの基準と考えていいでしょう。
マグネシウムの値が低すぎると、骨格形成のための材料がないためサンゴが丈夫に育ちません。
多すぎた場合はどうかというと、自分の場合はサンゴに影響はありませんでした。
低いよりは高い方がいいかもしれませんが、バランスは保つに越したことはありません。
マグネシウム(Mg)の維持をするためには水換えと添加剤を使用する!
水換えでMgを補う
マグネシウムの値を維持することが大事ということがわかったと思います。
サンゴを飼育しているとマグネシウムは多少なりとも消費されていき、気づいたら低い値になっていたということがあります。
経験上、KH、カルシウムよりは急激に減っていたってことはあまりないですが、それでも少しずつ減っていきます。
それを防ぐためには、マグネシウムを追加していかなくてはいけません。
追加する方法としては、まず水換えが挙げられます。
水換えによりマグネシウムを補充することができます。
水換えのみでマグネシウムを補充し、水槽を維持しているという方もいます。
海水魚だけの水槽であれば、水換えは硝酸塩やリン酸塩等の除去が主な目的になります。
しかし、サンゴ水槽であれば硝酸塩等の除去に加えて、消費された海の成分の補給及びバランスを整えるという役割が大きいのです。
消費される成分というのは、KH、カルシウム、マグネシウムなどの主要元素の他、ストロンチウム、ヨウ素などといった微量元素です。
ここで注意が必要なのは、水槽のMgの値に比べて高すぎる値の人工海水で水換えをすることです。
これにより、急激に水槽のMgの値が上昇してしましまいます。
よく例に出されるのが、コーラルプロソルトです。
サンゴの育成のために海の成分の値を強化してあるRedSeaの高級人工海水の素であるコーラルプロソルトなどは塩分濃度35でMg1390という数値です。
KHと比べるとそこまで高い数値ではありません。
これくらいの数値であれば水槽内の数値の変動は少ないですね。
しかし、値に差がある場合は少量の水換えで抑えておくのが無難です。
添加剤でMgを補う
マグネシウムの添加剤は各メーカーから出されています。
使用するのはこれもなんでもいいですが、迷ったらテストキットと合わせてRedSeaにするのが間違いないでしょう。
今後いろいろと試していけばいいのです。
使いやすさやコスパなどの点からこれがいいっていうのを見つけ欲しいと思います。
入り口は無難に王道のRedSeaがおすすめです。
こちらの添加剤を使用すると、マグネシウムの値を簡単に上昇させることができます。
使用する量ですが、水槽の水量100リットルにつき1mlを投与することで、1ppm上昇します。
私の水槽は45㎝キューブオーバーフロー水槽ですので、ちょうど100リットルくらいです。
10ppm上昇させたいのであれば10ml添加すればいいというわけです。
ここで闇雲に添加してはいけません。
重要なのは、値を維持することです。
ということは、1日にどれくらいのマグネシウムが消費されているのかを確認する必要があります。
KH、カルシウムのときは3日後の値の変動から割り出しましたが、マグネシウムはそこまで数値に変化がありません。
1週間や2週間の単位でどれくらい消費するかを計算した方がいいかもしれません。
自分はそうやって1日に使用されるマグネシウムの量を計算して、毎日その量を添加していたのですが、
2週間後に測定した際には予想よりも大きく数値が上がっていたと言うことがあります。
現在はマグネシウムの添加剤は使用していません。
週1回の水換えで数値の維持は十分出来ています。
それくらい変動が少ないのがマグネシウムなのです。
ただ、水槽の大きさ、サンゴの量によっては変わってくると思いますので、自分でしっかりと測定することをお勧めします。
最後に
サンゴを飼育する上で重要になってくる主要元素のひとつマグネシウムですが、KH、Caよりはそこまで気をつけなくてもいいです。
しかし、値が低いとサンゴの成長に影響が出てきますので、定期的な測定を行い必要に応じて添加剤による添加を行いましょう。
最後まで見ていただきありがとうございました。